ひとりひとりが歴史であり、その証人でもある私たち市民。私たちの年配の者は、愚かな戦争と屈辱的な無条件降伏を体験しました。その凸凹の歴史にもまれて歩み生き抜いた女性たちの生活観と実感が集められています。
『少女たちの戦争証言 あの頃わたしは』それはその体験文集です。記憶が鮮明なうちに書き残し、次世代の日本人に伝えておこうというのでしょう。
例えばこんな例も。和紙とこんにゃくで作った「風船爆弾」の記述です。その和紙「小川和紙」は、今では無形文化財。風船爆弾のいくつかは、偏西風に乗って、カリフォルニアに着いたといわれていますね。切羽つまった知恵が発案されたのでしょう。その知恵の伝統は、形を変えていまも受け継がれており、皮肉なことに、IT時代に世界的な製品を生み出しています。
文明とはふしぎなものに思えてきます。人と社会を幸せに創造していくのがよい文明でしょう。「知恵」でしょう。文集はそんなことも思わせました。
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