地球の気象は異常を来たしている
カリフォルニアの山火事、欧州の洪水、日本の豪雨と水害。これらは「地球という自然」が、文明社会の進展に伴う温暖化の影響を受けて実直に表現し、警告している現象であるように感じられます。
自然は狂い始めると、因果応報の原理に従って、つぎつぎに異常な現象で狂いを表現していきます。もうこれ以上、「地球は青かった」を狂わせてはならないはず。温暖化対策は、世界のリーダーたちがもっとも真剣に対策を講ずるべき第一の緊急の課題だと思います。経済活性化はその次、地球の健康保全の後のテーマではないでしょうか。
プラスチックがカーボンマイナスに
そんなとき期待を抱かせる情報です。米国カリフォルニア州にあるNewlight Technologies という設立10年の小さな会社が、デルとスプリントという会社と連帯を発表。注目されるのは、「石油」からではなく「空気とメタンなどの温室効果ガス」からプラスチックを作りだすという新技術です。同社のプラスチック製品AirCarbonは、ライフサイクル全体でカーボンマイナス、つまり、大気中の炭素を減らすことが第三者により確認されたというのです。
デルは AirCarbon を利用したパッケージ開発を進めており、スプリントはAirCarbon を使ったiPhone5のケース販売をすでに5月末に開始しています。どちらもそれぞれの業界では初めての取り組みで、注目を集めているというのです。
しかも、コストと環境負荷を共に削減
こうした技術開発には厖大な資金がかかるというのが一般的な常識です。しかし、
Newlight Technologies 社はこの悩みにも解決策を用意したという。新素材AirCarbon の製造コストは、既存のプラスチックよりも低いのです。現在は、まだ生産数が少ないために販売価格は割高のようですが、今後は生産拡大により販売価格を既存の石油ベースのプラスチックより下げることが計画されているそうです。
それが実現すれば、企業はAirCarbon を使用することによって、コストと環境負荷を同時に削減できます。これまで「環境はコストがかかる」と考えていた方や企業は、ぜひこのような材料の使用を検討されてはいかがでしょう。
そして日本でも、ローコストでしかも環境負荷の少ない独自の素材開発が進むよう願わずにいられません。「ものづくり日本」の底力は、今後まだ広い分野で発揮する余地があるようです。鍵は、テーマの発想とコンセプトでしょう。ソフトこそ、技術革新の母体であろうと思います。
* なお、今回のコラムは、株式会社レスポンスアビリティ(代表取締役:足立直樹氏)
の発信する《CSRファイル》♯002「プラスチックはカーボンマイナスに」(執筆:井上孟氏)を、同社のご了解を得て朝倉がリライトしました。
*同社のアドレスは、http://www.responseability.jp/ です。
〒141-0021 東京都 品川区 上大崎 1-1-4 エスティメゾン白金台102
株式会社レスポンスアビリティ
電話:03-6303-9799 FAX: 03-6303-9798
mail:info@responseability.jp |